August 05, 2017

good old days

最近、シカゴの大学時代の友人たちが
サンフランシスコ交響楽団や
ブリュッセル・フィルハーモニック等の来日と共にやってきて
再会できる機会が増えている
あの広大な合衆国で
あらゆる人種の入り混じる中共に学び
またそれぞれの場所へ羽ばたいていった仲間たちと
思いがけず世界のこんな小さな島国で
昨日まで会っていたかのように再び会い
笑い合えることがなんだかとても嬉しく
貴方の国は素晴らしいね!と皆に口を揃えて言われることが
なんだか歯痒かったりする

そんな今日も
お互いにアメリカが母国ではなかったけれど
大学時代の4年間を共にし
支え励まし合った友人が
フィアンセを連れて日本に来るというので
卒業以来久々の再会

私には
この人たちがいなければ絶対に卒業できなかった!という
感謝の尽きない人たちが数名いるのだけれど
彼もそのうちの一人

入るのは簡単、卒業することが難しい、と
言われているアメリカの大学を
ただでさえ外国人である自分が
常に良い成績を取り続けることで奨学金をキープしながら
最短で卒業することの
言い知れぬプレッシャーと大変さ
そして文字通り
言葉もわからない、家族もいない、親戚もいない、友人知人もいない、
土地勘もない、文化もわからない、など
そんなないない尽くしから始まり
圧倒的に孤独だったけれど
今となっては数えきれないほどできた友人や
持ちきれないほど積み重なった思い出
あの頃のシカゴでの日々、日常であった音楽生活が
語りきれないほどあって
なんだか笑えてくる

大学入学当時は
クラスの一番前の席で男の子同士のカップルがキスをしているくらいで
何とも言えないショックを受けていた私だけれど
アメリカは近年ついに全ての州で同性婚が合法化され
その頃交際していた何組かのLGBTのクラスメイトたちが
最近次々と結婚し
"もうこれからは人類誰とでも
本当に好きな人と結婚できるのよ!"と
皆が本当に心から祝福するという空気だったり
当時は女性だと思っていた友人が
実はtransgenderで突然男性になっていて
アメリカのメジャーオーケストラの中で初めてオープンにした
transgender musicianだ、と話題になっていたり
あの頃の仲間たちの近況を耳にする度
言葉が正しいかわからないけれど
アメリカは今でもなんだか本当に
最先端をいっているなぁと途方もなく感じたりする

先述の彼と色々な話をしていると
あぁ、私のアメリカでの9年間は
本当に大きなものだったんだなぁと感じる
こういう言い方をすると本当に薄っぺらくなってしまうし
外国の方がすごいとか、偉い、なんてことは絶対にないので
言葉が難しいのだけれど
でも誤解を恐れずに言うならば
私はほんとうにアメリカで広い世界を"みた"のだと思う
ドイツから一旦帰国し
あのままずっと日本にいたら
きっと一生会えなかったであろう人たちに沢山出逢った
きっと一生聴けなかったであろう音楽や
学べなかったもの、
文化、経験、人種、想像力、
そういうものたちに
本当にたくさんたくさん出逢った

それまでは
いつも逃げてばかりの人生だったような気がしていたけれど
アメリカでは
音楽という意味だけでなく
勉強して勉強して
一生で唯一、自分自身に逃げなかった時期
そんな孤独な時代を過ごした
ずっと変わらない部分ももちろんたくさんあるけれど
あの時期を生きたことで私は変わったと思う
人生に対する想いも世界も何もかも

それは今になってようやく
実感として感じる

そんな人生の大事な大事な一時期を共に過ごした仲間たちと
またこうして会えること
過去も未来も報告が聞けること
そしてそれがまた
まだ見ぬいつかへ繋がっていくこと
全部ありがとうと思ったりする

5、6年前?
オケでアメリカの国歌を弾かせて頂いた
思い出深い卒業式
懐かしい写真を引っ張り出して
卒業式後、お世話になったDr. たちと*
(一体この頃は今の何キロ増なのだろう…というほどムチムチの私)